エッセイ

黄桜のカッパのCMでドキドキしていた子供時代のお話

黄桜 カッパ

我が家の女州は揃いにそろって腰までのロン毛だ。

毎日お風呂のあとに子供たち二人の濡れた髪をドライヤーで乾かしてあげるのだが
特に長女は髪の量が多く、毎日かなり長時間をドライヤータイムにあてている。

毎日のドライヤータイム、長女(現在8歳)は最近、少女漫画雑誌に夢中になっている。

ドライヤーをかけながら、暇にまかせて長女の読んでいる少女漫画を後ろから盗み読みしてみると、登場人物のイケメン男子の「〇〇は俺がもらうから。」やら、「大人だったら〇〇を連れ去っていけるのに・・」やら・・・なんとも胸キュンなセリフに、頭ポンポン顎クイ!腕グイ!など、女子のときめくイケメンアクションのオンパレードである。

近頃の小学生ってこんなの読んでるのか?!(汗)

キラキラな恋愛シーンに対する免疫力がすでに枯渇しているアラフォー母の私にはイケメン男子の歯の浮くようなセリフの数々がなんともこそばゆく、冬のお肌の極度の乾燥も手伝い、今にも全身に蕁麻疹が吹き出てくるのではないかと自らの体調を案じるほどだ。

ドライヤーをかけながら、横から長女の顔をのぞき込んでみると、長女はいたって真剣な表情で恋愛漫画のストーリーに集中している。

最近まで赤ちゃんだったくせにこんな恋愛ものなんて読んじゃって♪コノコノ!!などと余計な軽口をたたきたくなる気持ちをぐっとこらえ、我が子の成長に思いをはせながら、自分の子供時代についてぼんやり思いだす。

子供時代、ちょっとドキドキした記憶と言えば強く心に残っているのは、家族でテレビを見ているときに急に始まる黄桜のCMだ。

♪かっぱっぱー るんぱっぱー♪のメロディーとともにメス河童とオス河童が日本酒を飲んでいるシーンが流れる。

河童なので甲羅をしょってはいるけど基本的に裸なわけで、そのメス河童とオス河童が身を寄せ合っているCMが流れると見てはいけない物を見てしまったような気持ちで妙にソワソワしたのを覚えている。

おそらく今、うちの長女に黄桜のCMを見せたところで特に動揺もしないだろう。普段見聞きしている情報のレベルが昔と今とでは大きく違うのだ。

そんな長女、かつて恋していた男の子が引っ越してしまうと聞いた時、〇〇(好きな男の子)が何年か後に帰ってきたらどうする?と質問すると、「・・・ばかっ💛って言う」、とサラッと言ってのけた。

なにィィィ!!!????

なんなんだ?
そのトレンディな「ばかっ💛」は!!!
お前は温子か?
浅野温子なのか!?

そんな高度な「ばかっ💛」が使えるのは浅野温子だけだと固く信じていた私は
8歳児の「ばかっ💛」使いに腰を抜かした。

河童のつがいごときに毎度ドギマギしていた幼き日の自分が恥ずかしくなるほどだ。

思い起こせば、私が長女くらいの年齢の時はとにかくまだ恋愛ものなどにまったくなじみがなく、動物が大好きで「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」だとか「わくわく動物ランド」などを毎回楽しみにしていた。

将来の夢はムツゴロウ王国で働くこと!と公言し、犬の担当になるかサルの担当になるかで悩んだりしていたものだ。

「わくわく動物ランド」で、シマウマがライオンに捕食されるシーンなどを見ると、夜布団に入った後に「今、ここにライオンが入ってきたらどうしよう・・」などと非現実的な恐怖にとらわれ、布団に頭からすっぽりとくるまると、手だけを布団から出し、その手をライオンの口に見立てて布団の上から自分のお尻を勢いよく掴んでみたりして、ライオンに噛みつかれてもこの布団の強度が耐えられるのか?安全なのか?などと真剣にシュミレーションしたりしていた。

こう思い起こしてみると自分の子供時代が子供っぽすぎを通り越してアホだったのかもしれないという疑惑も湧き上がってくるが、とにかく今の子供は日々、昔に比べて膨大な情報に触れていることで、やはり昭和時代の子供より、少ない情報で想像力を膨らませてドキドキワクワクとか、ハラハラしたりするということ自体があまりないのではないか?
そのため全般的にどこか冷めていたり、ませていたりするように感じるのだろうか。

そんなある日、私がリビングで用事をしていると、となりの部屋から爆発的な笑い声が聞こえてきた。

笑いすぎて呼吸がおかしくなるほどの状態に陥り、ヒーヒーと悲鳴まで上げている。
なにごとか!?と慌てて様子を見に行くと、次女6歳がひっくり返り、自分をくすぐって笑い崩れていた。誰にやられているのでもない。自分で自分をくすぐり笑い過ぎて呼吸困難になり苦しんでいる。

私はそっとドアを閉めた。

どんなに時代が流れても、アホな子供はいるんだな・・・。

当たり前だが、今の子だからこう、昔の子だからこう、と一概に言えるものでもないのか・・

そして、少なくとも私の子供時代はここまでのアホではなかったな、と冷静に分析をしたのであった。

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富岡紗和子
富岡紗和子
神奈川県湘南在住、占い師(帝王命術鑑定師)・ラジオパーソナリティ・エッセイ作家・法人役員(役員暦24年)の富岡紗和子です。 現在、二人の娘を持つ母でありサーフィンとビールをこよなく愛するアラフィフ女子です♪ ⇒ ⇒ 詳しいプロフィールはこちら