ここ数年、有名な俳優やミュージシャンの中で、薬物事件で逮捕される人がとても多いのに驚く。
しかもみんなそれぞれその道で大成功を収めている人たちばかりだし、
私自身もこの人綺麗だなとか、この人の音楽好きだな、と感じている人たちが
突然薬物使用の疑いなどで逮捕と報道されると、心からもったいないなぁと思ってしまう。
居酒屋やバーでお酒を飲んでタバコを吸っているだけだったら逮捕されることもないのに、それじゃ物足りないのだろうか。
当たり前だが私は自分が薬物を使ったことがないので、このように芸能界で成功しながら薬物に走ってしまう有名人たちの気持ちを察することは難しい。
ただニュースなどで聞く限り、一度薬物を使ってしまうと、気持ちの問題だけではなく
薬物をやめることが非常に難しいのだろうということはよくわかる。
現に、私も20代で禁煙をした時にはホントに辛く「タバコやめるくらいでこんなに苦しいんだったら麻薬なんて使ったらやめるのがどれだけ苦しいのだろう」とつくづくまじめに考えたものである。
薬物で逮捕される有名人たちも、最初は、お酒とタバコくらいだったのかも知れないが何かのきっかけで徐々にもっと強い刺激が欲しくなってしまうのだろうか。
ところで、薬物のそれとはまったく別次元の話になるが、日常生活の中で目にするものに対し人間はみな一度刺激物を味わうと、後戻りできず再び刺激を求めてしまうことが多々あると思う。
そのような人間のサガを、私はひそかに「マエケンの法則」と呼んでいる。
アイドル時代のかわいい松浦亜弥さん、見た目もかわいくて歌も上手くて大人気だったが、一度マエケンさん扮するあややを見てしまうと、もう本家のかわいいあややでは刺激が弱すぎてしまい、物足りないと感じたことはないだろうか。大変失礼な話だが、まず顔の大きさからご本人では物足りないのだ。
それと同様に歌手の岩崎宏美さんも、ひとたびコロッケが真似する岩崎宏美さんを堪能してしまったら最後、ふつうにきれいな岩崎宏美さんをテレビで見た瞬間、激しく物足りなさを感じてしまうという現象が起きる。失礼なまでにアゴが長いアクの強いコロッケのモノマネが脳裏から離れず、本家の岩崎さんに対し、理不尽にコロッケと同等レベルのしゃくれを求めてしまう私がいるのだ。
このように、人間は一度刺激物を味わうと、同じ刺激を再び求めてしまい、もうあとに引くことができなくなってしまうのである。
激辛グルメや珍味なども中毒性があるが、視覚的な刺激も一度味わうと普通では物足りなくなるものだ。
私はもちろん薬物に手を出したことなどないわけで、そこに依存する感覚は正しく理解し切れてはいないが、タバコをやめるだけであんなに苦しみ、マエケンの“あやや”や、コロッケの岩崎宏美にすぐに思考が引っ張られる単純さを持ち合わせた私など、絶対に薬物に手を出してはいけないという事だけはよくわかる。
何しろ薬物を入手する金銭的な余裕があるくらいなら、毎日ビールを飲み、コラーゲンを摂取し、隙あらばヒアルロン酸を注入したいなどと日々願っている私は、なんて健全なのだろう。
発泡酒を飲みながら、毎晩お得用のシートパックを顔に貼り付けている私に「そんなことやって意味あるの?」などと余計なチャチャ入れをしてくる主人には、健全な嫁をもらったことをもっと感謝してもらいたいものである。
薬物使用で逮捕される有名人のニュースをテレビで見るたび、私などは絶対に入り込んではいけない世界だ・・
ダメ。ゼッタイ。
と、しみじみ考える私なのであった。